こんにちは、Ayuです。
今回は、「トウシューズを履く時期、タイミング」についてお話していきたいと思います。
これからトウシューズを履きたい、なんで私だけ先生からの許可が降りないの?、いつになったら履けるんだろう?という疑問をお持ちのあなたやそのお子様、もちろん曖昧な基準でトウシューズを履かせているバレエ教師の方にもぜひ、一度読んでみて欲しい記事になっています。
少しでも疑問が解決できるよう、一緒に考えていきましょう!
★目次★
トウシューズはいつから履けるの?
トウシューズを履ける「明確な年齢」はどこにも定められていません。
ですが、年齢としての目安は一般的に「8〜9歳以上」と言われています。
(ちなみにロシアでの基準は7〜8歳以上)
日本の小学校2、3年生に当たる年齢ですね。
ですが、「この年齢になれば必ず履ける!」というものではありません。
なぜなら、同じ8歳でも人によって成長の度合いが全然違うからです。
ポアントを履く基準は、「筋力」「バレエの基礎」「成長度合い」「先天的な身体の条件」などなどを総合して決められます。
ですので、同じ8歳でも、1年前にバレエを始めたばかりの子と、3歳からバレエを週2回通っている子では、筋力やバレエの基礎が確実に違いますし、バレエのレッスンを除いても、身長や体重、体型がみんなそれぞれ違いますよね。
「クラスで1人だけポアントを履かせてもらえない‥」と相談に来られる方もよくいらっしゃいますが、先生は「意地悪でその子にだけポアントを履かせていないのではない」ということを知っておいてもらうだけでも、少し心が軽くなるんじゃないでしょうか?
「下手だから」でもありません。
ちょっと失礼ですが、下手でもトウシューズを履き始める子供はたくさんいます。
(というより、トウシューズを履き始める年齢で「とっても上手」な子供はそういません)
じゃあなんで「私だけ」履けないのでしょうか?
それは「トウシューズが履けるからだ」にまだなっていないからなんです。
じゃあ、トウシューズを履く「基準」って一体どんなものなんでしょうか?
一つずつ詳しく一緒に見ていきましょう。
トウシューズを履く基準
レッスン回数
トウシューズを履くためには、ある程度のバレエの基礎が備わってなければいけません。
「昨日バレエを始めたばかり」の人が、翌日急にトウシューズを履いて踊ることはできないのです。
トウシューズを履くためには最低限の「アンドゥオール」を習得しなければなりません。
これは、「トウシューズで立ちやすくするため」でもありますが、同時に「怪我を防ぐため」でもあります。
内足の癖がついたままトウシューズを履いて踊ってしまうと、確実に「捻挫」します。
また、「膝を伸ばして、強い脚でルルヴェができる」ことも大切です。
バレエシューズの段階でこれができないと、トウシューズでは絶対に出来ませんし、正しく立てていないことによって、滑ってこけたりする危険もあります。
そして、最初の段階で間違った立ち方になれてしまうと、後から直すのはとっても大変!
そのままレッスンをしてしまうと、身体がその立ち方に慣れてしまっていくし、筋肉もその間違った立ち方に合うように育っていってしまいます。
なのでバレエシューズの段階で、ある程度のバレエの姿勢動きをしっかりと身につけておく必要があります。
レッスン回数の目安ですが、海外のバレエ学校でトウシューズを履かせる基準として「週2回のレッスンを行い、そのバレエ歴が4年以上。年齢は7歳以上。」とされています。
つまり、大体このくらいのレッスン回数であれば、トウシューズを履くための基礎がある程度できているはずだ、とされているわけです。
なので、1年バレエを習ったからといって、トウシューズが履けるわけではないですし、4年習ったからといって、月2回のレッスンではちょっと足りないかな、というわけです。
足の筋力と骨の発達と身体条件
トウシューズを履くためには、足の筋力や条件もとても大切になってきます。
同じ年齢・性別でも体重や身長がみんな違うのと同じで、筋力や骨の発達具合も人によって変わってきます。
足の筋力がきちんと育っているかどうかは、先ほどの「レッスン回数」がひとつの目安になってきますが、レッスン回数だけではどうしても図りきれないこともあります。
また「骨の発達」も影響してきます。
子供のうちは骨がまだ柔らかく、未熟な状態なので、トウシューズを履くことによってひどく変形してしまう恐れもあるからです。
この「筋力」や「骨の発達」が足りない状態でトウシューズを履き始めてしまうと、怪我をする確率がぐんと上がるので、トウシューズを許可しない場合がほとんどです。
また、「足首が柔らかい」「足の甲が出やすい」「反張膝=関節が柔らかい」など、先天的な条件を持った生徒もたくさんいます。
このような条件は、しっかりと訓練をすれば後には大きな武器となる可能性がありますが、トウシューズを履き始めたくらいの時期では、周りの子達よりも苦労する点が多々出てくると思います。
身体がまだ未完成の子供のうちは、筋力やテクニックでこれらの欠点を補うことが難しいため、怪我につながりやすくなってしまうのです。
もちろん反対に、「身体が硬い」のは絶対N Gです。
先生によっては、「スプリッツができなければトウシューズを許可しない」とされている先生もたくさんいらっしゃいます。
身体が硬くてトウシューズを許可されない場合は、毎日しっかりとストレッチをしましょう。
また、足首が柔らかかったり、関節が柔らかくて、身体を支えることが難しいと判断された場合でも、「毎日足首のトレーニングをすること」を条件に、トウシューズを履くことを許される場合もあります。
そんなときは、せっかく許可されたトウシューズで怪我をしないためにも、しっかりとトレーニングを行いましょうね。
足首を強化するトレーニングは、自重トレーニングやセラバンドを使ったトレーニングが効果的です。
プロのダンサーもよくやっていますね。
このような理由でトウシューズを許可されなかった場合は、「しっかりした、正しい知識を持った先生に習っているんだ」と、誇りに思ってください。
逆に、こんな状態でもトウシューズを履く許可をもらった場合は‥ちょっと考えものです。
体幹
足の筋力ももちろんとっても大切ですが、それと同時に身体を支える「体幹」の強さもとても大切です。
いわゆる「腹筋」と「背筋」ですね。
トウシューズを履いて踊るときは、「身体をしっかり引き上げ」なければいけません。
こんにゃくのようにフニャフニャした身体では全身を支えることができませんよね。
身体をしっかりと引き上げるために必要なのが、この「体幹」なのです。
「バレリーナの姿勢がいい」と一般的によく言われますが、姿勢がいいのは、体幹がしっかりしていて、いつも上に引き上げて立っているからなんですね。
普段のレッスンで、しっかり引き上げを意識することが大切です。
足りなければ、簡単な腹筋・背筋運動をプラスしてみてください。
体幹を意識せず、脚だけで無理やり踊っていると、脚がどんどん太くなっていきますし、回転やジャンプなど高度なテクニックが出てきたときに必ず行き詰まってしまいます。
重心の安定性とコントロール
トウシューズを履いて踊る中で、とっても大切なことがこの「重心のコントロール」ができること。
重心が安定していないと、先ほどのこんにゃく同様フニャフニャしてしまうので、狭いプラットフォーム(トウシューズの先の床につく部分)でしっかり立つことが難しくなってきます。
初めのうちはバーに捕まって練習するのでさほど気にならないかもしれませんが、いざバーを離して踊りだすとあれよあれよという間に「サーカスの綱渡り」状態になってしまいます。
そうならないためにも「自分の重心がどこにあるのかを知り」、その「重心をコントロール」できるようになることが大切なんです。
そして、重心は常に安定していなければなりません。
例えば、お尻が外れたアラベスク。
これは完全に重心が外れている典型例です。(滑ってこけます。危険!!)
そして、バーレッスンでタンデュをしたときに、軸足が動いてしまう。
これも重心が安定していない証拠ですね。
動足と軸足は別々に動かなければなりません。
「動足が動くから」「ポジションに入れにくいから」といって軸足を動かしていると、いつまでたっても重心は安定しません。
重心をコントロールする簡単なトレーニングとして、「バーレッスンの最中にバーから手を離してみる」のも効果的です。
バーを離した途端によろけてしまう場合は、重心が安定していないということになります。
そうなったときは、まず「自分の重心が今どこにあるのか」を考えて、「安定するところに持っていく」ことが必要です。
重心が安定していないときは、たいてい「骨盤の位置がズレている」ことが多いです。
骨盤の中心が重心をおきたい脚の上にしっかり乗っているかをいつも確認する癖をつけることをお勧めします。
もちろん、高度なテクニックとして「オフバランス」(重心を外す)というものもありますが、これは重心のコントロールとそれを支える体づくりができてこそできるテクニックです。
初期のうちは、いつも重心が脚の上にあり、安定していることを重視しなければなりません。
トウシューズを履く時期を見分ける
それでは基準を理解したところで、次は「具体的にトウシューズを履く準備ができているかどうか」を見分ける方法について一緒に見ていきたいと思います。
トウシューズを履く基準として、上記のレッスン基準など以外にもそれぞれの先生が独自の方法をお持ちでいらっしゃるかと思いますが、今回は私が教師課程で学び、実践している方法について説明していきたいと思います。
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第3ポジション以外の全てのポジションでルルヴェをさせる
バレエシューズでルルヴェをした状態をキープし、教師はそれぞれの項目をチェックしていきます。
バレエシューズで正しいルルヴェができていることが、トウシューズを履く最低条件です。
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これらの項目がクリアできていれば次のステップに進みます。
第3ポジション以外の全てのポジションでプリエをさせる
今度は、先ほどのルルヴェからプリエに降ります。
そのときのチェック項目は
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です。
プリエがちゃんとできていないと、ポアントワークもできないのでここでしっかり正しいプリエができているかどうかを確認します。
第2ポジションでルルヴェに立たせ、足下を揺さぶってみる
1を参考に、第2ポジションで正しいルルヴェをした状態で「腰椎に手を当て」、足下を揺さぶってみます。(バーは持っていて大丈夫です)
この状態で腰に振動が伝わっていれば、しっかり脚で立てている証拠です。
振動が伝わってこなければ、力が伝わっていないということなので、トウシューズを履くのはまだ早いかもしれません。
この方法で振動が伝わっている場合、必然的に脚にしっかりと力が入っており、床を踏ん張って立てているということになります。
バーレッスンを一通り行う
最後は、バーレッスンを片手で一通り行ってみます。
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これらの項目はトウシューズを履くにあたって最低限できていて欲しい項目になります。
この4つの方法にプラスして、先ほどの「レッスン回数」「足の筋力と条件」「体幹」「重心の安定性」を加えて総合評価します。
少し厳しい基準かもしれませんが、生徒が怪我をしたり、後々間違った立ち方で直すのが大変になったりしないように、しっかりとチェックすることが教師の役目です。
ちょっと先生向けの説明になってしまいましたが、トウシューズを履きたい方も参考になると思うのでぜひ知っておいて欲しいです。
と同時に、これらのことを意識して普段のレッスンに励んで欲しいと思います。
まとめ
ロシアのバレエ学校でよく言われていることは、「プロダンサーにならないなら、トウシューズは履かせないべきである」。
理由は、骨が変形する恐れがあり、足の指はボロボロになり、怪我はしやすいしで、いいことがないからです。
だけど、せっかくバレエをやっているならトウシューズを履いて踊ってみたいですよね。
日本のバレエスタジオでは、ある程度の年齢になると、プロになる夢がなくともほぼ全員がトウシューズを履くようになっているかと思います。
でも、今回の記事を読んでくださったあなたには、「みんな一緒の時期に、誰でも履けるのではない」っていうことが、少しでもわかってもらえたかな、と思います。
なので、もし一人だけトウシューズを許してもらえなかったとしても、落ち込まないでくださいね。
あなたの先生が、あなたのことを考えて、心配してくれた結果なんです。
もしこの記事を読んでくださっているのがバレエの先生なら、こういった基準を参考に、生徒さんにトウシューズを履かせるかどうかを決めて欲しいと思います。
トウシューズを履いて踊るのは、とっても大変なことだけど、バレエをやっている醍醐味でもあります。
しっかりとレッスンを頑張って、みなさんがトウシューズを履いてかっこよく踊れることを願っています。
頑張ってくださいね!!
Ayu