みなさんこんにちは!
今回は、「反張膝の痛みとの付き合い方」についてお話していきたいと思います。
反張膝って?
反張膝(はんちょうしつ)とは、バレエで言うX脚のことを医学用語で表した名前です。
「過伸展」という言い方をしたりもしますね。
(※↑お見苦しくて申し訳ありませんが、著作権の関係で合う画像がなかったので、私の写真です)
海外のプロバレリーナにはよく見られる脚ですね。
スヴェトラーナ・ザハーロワやシルヴィ・ギエムもこの脚です。
「美しい」
「綺麗」
などと言ってもらえることも多いのですが、反張膝である本人は多くの悩みを抱えています。
中でも一番多い悩みは「膝の痛み」。
次いでそれに関連する腰や足首周りの痛みや怪我などが挙げられます。
綺麗な脚なのですが、使い方を間違えるととっても厄介なことになってしまうこの脚と上手く付き合っていけるよう、今日は一緒にお勉強していきましょう!
★目次★
反張膝との付き合い方1
身体の引き上げを強化する
バレエでは「膝を伸ばさなければなりません」。
それを意識するあまり、子供の頃から膝を中にぐいぐい押し込めるようなストレッチや立ち方をしてしまう生徒さんがよくいます。
もともと反張気味で関節が柔らかい生徒さんがこれをしてしまうと、よりひどい反張膝になるだけでなく、関節同士が擦れて痛くなってしまいます。
また、靭帯も必要以上に伸びてしまう危険性があります。(靭帯は一度伸びてしまうと元にはほぼ戻りません)
これが痛みを引き起こす原因なんですね。
私の場合、膝をぐいぐい伸ばして子供時代を過ごしたので、関節同士がすり減って、靭帯にも傷がいき、手術せざるを得なくなってしまいました。
当然、しばらくバレエはできません。
こうならないためにも、膝に負担がかからないように周りの筋肉を育て、柔らかい関節をサポートしてあげないといけないのです。
例えば、第1ポジションで立ったとき、このX脚の子は「かかとを離して膝をつけた1番ポジション」をやりがちです。
本来、膝・かかとが両方ついていなければいけないのですが、X脚の人は「両かかとをくっつけると膝が曲がってしまう」のでかかとを空ける癖がつきやすいのです。
ですが、X脚の人でも「かかとはつけるべき」なんです。
じゃあ、膝は曲がったままでいいの?
もちろんそんなことはありません。
上に上に上体を引き上げて、上方向に膝を伸ばすように努力します。
X脚の人はもともと関節が柔らかかったり、緩かったりする傾向があります。
それと同時に「力が弱い」傾向にもあります。
筋トレが苦手だったり、運動神経が悪かったりと差はあるものの、X脚でない人に比べると身体がフニャフニャしがちなんです。
それゆえ、引き上げる力も弱く、腰が落ちてしまっているので、この落ちた腰をグッと上へ引き上げてやる筋力が必要です。
同時に、太腿も上に引き上げます。
「横方向ではなく、縦方向に膝を伸ばす」を徹底的に意識しましょう。
まずは第1ポジションに立って、両足のかかとをつけて、腰をうんと上に引き上げて膝が伸びるようにトレーニングをしましょう。
腰が落ちていると、せっかくの綺麗なX脚もどんどん太くなっていって台無しです。
反張膝との付き合い方2
ストレッチばかりしない
反張膝の人は、基本的に身体が柔らかいことは先ほども書きましたね。
かく言う私も子供の頃は人一倍身体が柔らかかったので「軟体動物」なんてからかわれたこともありました。
両親には「雑技団に入れそうね」なんて。
なので反張膝の人は柔軟性にあまり困ることがないと思います。(全員とは言い切れませんが)
そのかわり筋力や関節が弱いので、トレーニングをしっかりしないといけません。
私の場合、トウシューズを履くようになった頃から、先生にセラバンドを渡されて(ゲイナーのオレンジと黄色のやつでした。今はピンクと白かな?)「お家でトレーニングしなさい」と言われ、毎日レッスンのあとや休みの日にトレーニングをしていました。
ここでポイントなのが、「膝のトレーニングだけではない」こと。
その周りの筋肉も鍛えることが大切です。
内転筋のトレーニング、プリエのトレーニングをセラバンドを使って、あとは引き上げができるように体幹トレーニングも必要です。
https://www.youtube.com/watch?v=F2tjr7feFaM
私が子供の頃にやっていたものに近いトレーニングです。
反張膝出なくても、脚の筋力が弱い人は、こういうトレーニングを取り入れるといいです。
反張膝との付き合い方3
足を鍛える
反張膝は関節も柔らかく緩い性質があるので、足関節もしっかり鍛えておかないと捻挫の原因になったり、ポアントワークが上手くいかなかったりして困ることがあります。
また、回内足(くるぶしが落ちた状態。親指重心になりがち)にもなりやすいので、扁平足にもなりやすいです。(私もそうでした)
これはバレエダンサーにとって結構致命的なので、なるべく早い段階でトレーニングと癖付けをして改善しておく必要があります。
足の指をしっかり鍛えて、土踏まずを上げた状態で常に立ち、動けるようにトレーニング&意識付けをしましょう。
キャラクターダンスを学ぶのもおすすめです。
キャラクターは、足を踏ん張る力や足首のコントロールがクラシック以上に複雑で、またクラシックでは鍛えられないような筋肉群も鍛えられます。
代表出来なものでは、「かかとを上げ下げしながらバットマン・タンデュ」をする動作。
ほかにも片足ルルヴェでジャンプしながらフラッペをしたり、片足グランプリエで下がってから一気にルルヴェまで持ってくるなど、ハードな動きがバーレッスンに組み込まれています。
慣れないとめちゃくちゃキツいんですが、1ヶ月キャラクターのレッスンを受け続けた後は、びっくりするくらい脚が強くなっているのを実感できます。
バレエに必要な筋肉を無駄なく、効率よく鍛えられるので、下手に自己流トレーニングをするよりも私はお勧めしています。
ただ日本ではキャラクターダンスを学べる機会が少ないことがネック。
あったとしても数日のワークショップがほとんどです。
もしキャラクターを受けられる恵まれた環境の方は、ぜひ学んで見てくださいね。
筋力もテクニックも、かなりレベルアップします。
反張膝との付き合い方4
重心の位置を知る
反張膝の人は、重心の位置を取るのが、そうでない人に比べて少し難しいです。
真っ直ぐな足なら、足の骨盤から膝、つま先までが一直線なので、素直に骨盤の真下に重心がおけます。
一方反張膝の人は、膝が中に入っている分、後ろに重心がいきがちです。
パッセなどで立ったときも、骨盤が傾きやすいです。
「思っているよりも少し前」に腰を持っていかないと、傾いてしまいます。
軸足はより引き上げていないと、骨盤が傾いてしまいます。
バーレッスンでしっかり自分の重心がどこにあるか、をより意識しなければいけません。
アテールのときとルルヴェのときではまた重心が変わってくるのもこの脚の特徴。
私の場合結構言われたのが、デュエットのときにパートナーに「重心が難しい」。
慣れていないパートナーだと、高確率で言われますし、こちらもとてもやりにくいです。
特にアラベスクのパンシェなんかは、もっとも膝が中に入っていきやすいパなので、パートナーが分かっていないとものすごーく脚が上げにくいし、ポアントで立ってることすら辛くなってくることもあります。
X脚でない人に比べて、腰を前に持ってきて重心をとるので、それをパートナーが分かっていないと、普通通りの位置でサポートしてしまうため、X脚の私たちにとっては「後ろすぎる」んですね。
もし、「あなたがパートナーと踊りにくい」と思ったら、しっかりと重心の位置を伝えてあげましょう。
そしてあなたも、身体を真っ直ぐに保つこと、引き上げることを普段よりもより意識してデュエットに臨みましょう。
まとめ
いかがでしたか?
ざっくりですが、反張膝のお悩みを一緒に考えてきました。
この脚は、人から羨まれる一方で、しっかりとしたテクニックを伴うにはかなりの努力が必要です。
でも、せっかく綺麗な脚に生まれてきて、それが生かせるバレエを習っているのだから、これを生かさない手はありません。
生まれつきの骨格は変えることが出来ない分、アドバンテージでもあります。
ぜひしっかりとトレーニングをして、綺麗な脚で華麗なテクニックを披露してください。
あなたがその綺麗な脚を最大限に生かせられるよう願っています。
頑張ってくださいね!!
Ayu