今回は「バットマン・ジュテ」についてお話していきたいと思います。
よく「ジュッテ」とか「ジュテ」とか省略されがちですが、正式な名称は「バットマン・タンデュ・ジュテ」といいます。
今回の記事では省略して「ジュテ」で統一して書かせていただきます。
クラシックバレエのバーレッスンでは、大人も子供も毎回練習するパ(動き)ですし、もちろんセンターレッスンにも取り入れられます。
アレグロやジャンプの基礎になるので、しっかりここでマスターしていきましょう!!
★目次★
バットマン・タンデュ・ジュテの意味と定義
ジュテはフランス語で「放り投げる」という意味です。
なので脚を放り投げるようにして、力強く出します。
タンデュと決定的に違う点が「アクセントは外」にあることです。
タンデュの場合は、アクセントを「ポジションに閉じたとき」にしますね。
ジュテの場合はその逆で、脚を出したときに空中でアクセントを取ります。
タンデュの通り道を通って、力強く出して、足の爪先が床から離れたら空中で「止め」ます。
そうすると外でアクセントがうまく取れます。
ちなみに、ジュテの高さは「25度」が正しいとされています。(ワガノワメソッドの場合)
「25度ってどこよ?」
と思われた方は、一度下記の方法で自分の25度を確認してみてください。
- 片足を曲げて「シュルル・ク・ドゥ・ピエ」の位置にあげる(足首のところ)
- そこから脚を各方向に出す
- 出したところが「25度」です!
どうですか?
簡単にできましたね。
シュルル・ク・ドゥ・ピエについては、後日詳しく書くことにします。
決してその位置よりも上げすぎないように注意してください。
ジュテを訓練する理由は、
- 空中で伸びと張りの脚を作ること
- 脚を強化し、動きに鋭さと軽さを養うこと
この2つが主な目的です。
これを意識して練習するようにしてくださいね。
ジュテをするときに気をつけるポイント
- 床をしっかり擦って動脚を投げ出すけれど、床は「押さない」
- 脚は遠くへ伸ばす
- バットマン・タンデュを必ず通る
床をしっかり擦って動脚を投げ出すけれど、床は「押さない」
動脚はタンデュと同じように、しっかりと床を擦ります。
このときのイメージは、「モップで床をスッと擦って」いくような感じ。
床を足で押して、床に圧力がかからないように気を付けます。
床を押すようにジュテをすると、余計な力が入ってしまい、必要のない筋肉が育ってしまうので、脚が太くなってしまいます。
綺麗な脚のラインを作るためにも、脚にガチガチに力をいれないで、スーッと流れるようにジュテをしましょう。
コツは、腰を真っ直ぐに保って、動脚を付け根から分離するように使うことです。
脚は遠くへ伸ばす
ジュテをするときもタンデュと同じく、足の指先までしっかり伸ばします。
足の指の裏まで神経を使って伸ばし切りましょう。
そして大切なのは、ただ伸ばすだけじゃなくて「脚を遠くに伸ばす」ようにすること。
腰が脚と一緒についていかないようにしっかりと支え、空中でさらに伸ばすようにして止めます。
空中に出したジュテの脚は、しっかり止めなければなりません。
空中でバウンドするように「ブラブラ」させないように気を付けましょう。
そして戻ってくるときも、その空中に伸ばした脚をさらに引き伸ばすようにしてポジションへ戻します。
バットマン・タンデュを必ず通る
ジュテは、タンデュの延長線上になくてはいけません。
必ずタンデュを通って脚を上げ、タンデュを通ってポジションに戻すことを徹底します。
習い始めのときは、「まずタンデュをして止める→ジュテへ上げて止める→タンデュへ下ろして止める→ポジションに戻す」という動作をゆっくり練習するのがおすすめです。
全部の通り道をしっかり身体に覚え込ませることができます。
また、ジュテに上げた脚がタンデュの位置から左右(前と後ろに出すとき)、前後(横に出すとき)にずれないように注意しましょう。
お尻はタンデュのとき以上にしっかりしめて、アン・ドゥ・オールも意識しないといけません。
お尻をしっかり締めることで、脚の内側の筋肉が使えるようになって、美しいアン・ドゥ・オールを保つことができます。
もちろん動脚だけでなく軸足も、動脚につられて動かないように、お尻を締めて外側に回すように保っているようにしてください。
バットマン・ジュテのよくある間違い
- 動きが鋭くない
- 横へ出した脚を戻してくるとき、ポジションにまっすぐ入らない
- 後ろのジュテのとき、腰から反っている
- 上体の「四角」が歪んでしまう
動きが鋭くない
ジュテは「鋭く」行わなければいけません。
だけど、先ほどもお話しましたが、はじめの「基礎」を習う段階では「ゆっくり」で大丈夫。
むしろゆっくりやって、正しい形を身体に覚えさせてください。
ゆっくりしたテンポで正しいジュテができるようになったら、今度は「鋭く」ジュテをするようにします。
「鋭い」といっても、乱暴にするのではないですよ。
ポジションから床をしっかり擦って素早く空中にあげて、空中でピタッと止める。
戻すときも正しいルートを通りつつ、素早くポジションへ戻します。
ただ、素早く動かすことに気を取らすぎて、ポジションに戻すときに脚を打ち付けるように戻すのはNGです。
素早くかつ丁寧に戻してくるように気をつけてくださいね。
そして「つま先をしっかり伸ばす」こと。
つま先がブラブラしていると、もちろんシャープには見えませんよね。
「脚を遠くに伸ばす」ことを意識しながら、指の先の先まで意識して伸ばすことが大切です。
横へ出した脚を戻してくるとき、ポジションにまっすぐ入らない
これは、第5ポジションに戻すときによくある間違いで、脚が迷子になって、斜めにいったり曲線を描いたりして戻ってくることです。
こうなる原因は、「タンデュをちゃんと通れていない」ことが原因です。
また、「付け根やふくらはぎの筋肉を外にちゃんと向けられていない」ことも原因です。
動きが早くても、「正しいポジション」・「正しいタンデュ」・「アン・ドゥ・オール」の3点をしっかり守るように気をつけましょう。
この癖がついてしまうと、後々アレグロや大きなジャンプでとても困ったことになってしまいます。
後ろのジュテのとき、腰から反っている
これもよくある間違いで、腰から脚を上げてしまう動きです。
本来、ジュテの高さでは前に倒れる必要もなく、胸を反らせる必要もありません。
もちろんバーを持つ手を前に移動させるなんてことはしないようにしましょう。
こうなる原因は、「腰が落ちてしまっている」ことと、「脚の付け根が落ちてしまっている」ことです。
腰も、脚の付け根もしっかりと引き上げて、お尻が出ないように十分気をつけましょう。
また、アン・ドゥ・オールができておらず、膝が下を向いてしまっていると、お腹の力が抜けてお腹を突き出すような格好になりやすくなります。
その結果、腰から反らしてしまう形になってしまうのです。
後ろに出すときはアン・ドゥ・オールもやりにくいと思いますが、出来ないうちは脚を「ほんの少し」だけ上げて、正しい姿勢を身に着けることから始めてみましょう。
上体の「四角」が歪んでしまう
クラシックバレエでは、全ての動きでこの「四角」を常に意識していなければなりません。
この四角が「歪んでいないか」、「ちゃんと四角になっているか」(台形になっていたりしたら体が歪んでいる証拠です!)、常に意識します。
四角が歪んでいる例↓
これはジュテ以外にも言えることですが、この四角がいつも崩れないように脚だけが動いていなければなりません。
お腹と背中にまな板をくっつけたようなイメージで、「肩が片方だけまな板から出ていないか」「腰が片方だけまな板からずれていないか」「まな板が曲がっていないか」と考えながらやってみると分かりやすいかもしれません。
上体を正しくまっすぐ保つことが、強い身体、正確なテクニックを作る第一歩です。
レベルが上がればもちろんあえてその四角を崩して、様々なポーズをとっていくようになりますが、これもその「四角」がちゃんと意識されていないと、全体が崩れてしまい、ヘンテコなアラベスクやアティテュードの出来上がり。
よくある「アラべゴン」がその典型例ですね。↓
ジュテのような初歩的な動きのときから(もちろんタンデュやプリエでも同じです!)、常に「四角」を意識するように心がけてくださいね。
真っ直ぐになっているかどうか分かりにくい人は、1枚目の写真のように、腰にゴムやベルトをつけるといいです。
ウエストのラインがまっすぐになっているか、そのゴムと両肩が平行になっているかどうかをいつも確認することができますね。
とっても安くで売っているので、ぜひ試してみてください。
私も子供の頃はこれをつけてレッスンしていました。
もちろん、手芸屋さんで平ゴムを買ってきて自作してもOKですよ。
丸ゴムは、お腹に食い込んで痛くて苦しいので、ちょっと太めの平ゴムを使うようにしてくださいね。
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上体が正しく保てるようになると、回転や素早いアレグロも難なくこなせるようになりますよ。
まとめ
いかがでしたか?
自分のジュテはどうだったでしょうか?
正しくできていた人はハナマル^^
これからも正しいレッスンを続けていってください。
「そんなこと知らなかった!」
「出来てなかった!」
という人も大丈夫。
今日新たに知識を得ましたね。
少しずつ、一つずつでもいいので意識すればできるようになります。
難しいかもしれませんが、あまり気にしすぎても楽しくないと思うので、自分ができる範囲で挑戦してみてくださいね。
みなさんのバレエの基礎がアップして、レベルアップ出来るように応援しています。
頑張りましょうね!!
Ayu