みなさんこんにちは!
Ayuです。
今回は、将来プロのバレエダンサーになることを夢見ているあなたに、「どのようなことを学んでいけばよいか」をお伝えしていきたいと思います。
日本のバレエシステムでは、正式な「バレエ学校」というものが存在しません。
なので、日本の子供たちは、「クラシックバレエだけ」を学んでからプロダンサーを目指すのですが、それでは海外のバレエ学校できちんと学んだ若いダンサーたちと対等に戦っていくことは非常に難しくなります。
海外には、国立のバレエ学校が多数あり、バレエダンサーになるためのより専門的な技術や知識を学習することができます。
システムは国によって様々ですが、今回はロシアのバレエ学校教育をベースに、日本の学生たちが学ぶべきことをお話していきたいと思います。
★目次★
ロシアのバレエ学校のカリキュラム
ロシアのバレエ学校では、クラシックバレエのほかにも様々な教科を勉強します。
ワガノワバレエ学校での学習内容はこんな感じ。
●一般科目
- ロシア語(国語)
- 英語
- フランス語
- 算数
- 文学
- 音楽
- 生物
- 保険
- 体操
- ロシア史
- 歴史
- 地理
- 専門職とは
- 美術
- 代数
- 情報処理
- 幾何学
- 化学
- 物理
- 舞台史
- 舞踊史
- 安全学基礎
- 音楽文学
- 社会
- メイクアップ
- 舞踊教授とは
- 哲学
- 各国文化史
- 自然科学
- 外国語
- 心理学
●実技
- クラシックバレエ:全学年1日2コマ
- リトミック(1年生)
- ヒストリカルダンス(1〜3年生、7年生)
- キャラクターダンス(4〜7年生)
- デュエット(6年生〜)
- 演技(アクチョール)(6年生〜)
- コンテンポラリーダンス(5年生〜)
- 舞台リハーサル(クラシックバレエの遺産)(8年生)
どうでしょうか?
日本で学ぶ子供たちに比べて、はるかにたくさんの内容を学んでいますね。
他のバレエ学校では、上記のほかに、社交ダンスやジャズダンス、バレエトレーニングを学んでいる学校もあります。(例えばヤーナ・サレンコの出身校、ウクライナのキエフバレエ学校「キヤノチカ」がそうです。)
実技だけ見ても、クラシックを学校終わりに1クラスだけ学んでいる日本の生徒とは比べ物にならないくらい多くの教科を時間を割いて学んでいるのです。
日本の日本で学生は何を学べばいいの?
一番いいのは海外のバレエ学校に長期留学して学ぶ方法です。
お金はかかりますが、プロになるために最も確実な方法です。
国によっては日本の私立高校と変わらないくらいの学費で留学できる学校もたくさんあります。
もし、日本国内でプロになるための修行を続けるなら、
- キャラクターダンス及びヒストリカルダンスを学ぶ
- コンテンポラリーを学ぶ
- 身体の構造、怪我の予防&リカバリー学を学ぶ
- トレーニングやストレッチを学ぶ
この辺りは必要不可欠になってきます。
キャラクターダンス
海外でプロとして踊りたい場合、小さなバレエ団だとクラシックだけでもなんとかなりますが、大きなバレエ団を目指す場合や、コールドから初めて上の階級を狙う場合、キャラクターやヒストリカルの習得は必須です。
キャラクターダンスは、独特な手・脚の動きに加え、各国の特徴を理解して身体で表現する必要があります。
日本人が苦手とする典型的なダンスジャンルとも言えます。
なぜ苦手なのか。
それは「普段やってないから」
私も国内でキャラクターのワークショップをしたり、留学生がいる海外の学校でアシスタントとして入ったりしますが、クラシックとは真逆の独特のリズムの取り方や身体の使い方に悪戦苦闘する日本人ばかりです。
日本のプロカンパニー公演を見ていても、キャラクターの基礎ができていないが為に、白鳥の湖やドン・キホーテなどでキャラクターもどきを踊っているプロダンサーを見て驚くこともよくあります。
見た目綺麗なんですが、ポジションも知らないし、そもそものパのやり方が違います。
海外に出れば一蹴されるでしょう。
そして、キャラクターダンスを学ぶと、キャラクターだけでなく、クラシックも上達します。
理由は、キャラクターではクラシックでは使わない筋肉をたくさん使うのですが、こちらの筋肉も鍛えておくことで、クラシックを踊るときも大いにサポートしてくれるからなんです。
例えば、「かかとを上げ下げしてバットマン・タンデュをする」という動きがありますが、この動きでは「足首・足指・頸腓骨筋・内転筋の強化」に加えて「上体を引き上げ重心を固定し、上体と下半身を切り離して動かす」訓練を同時に行なっています。
(「上体と下半身を切り離して動かす」記事はこちら)
このとき、頭は上下に動いてはいけません。
指を支点にかかとは上げ下げしますが、頭は固定したまま、脚だけ動かすのです。
やってみるとわかりますが、めちゃくちゃムズカシイ!!
この動きはキャラクターダンスの基礎中の基礎なのですが、こんな難しい動きがもっとたくさん複雑になって出てきます。(慣れると大して難しくありません)
キャラクターダンスを学ぶことによって、よりフレキシブルに身体を使得るようになり、クラシックにも必要な筋肉を無駄なく効率よく学ぶこともできるのです。
ちなみに私も、キャラクターは子供の頃にワークショップでかじった程度でしたが、海外のバレエ団でキャラクターの専門講師にみっちり教えてもらったところ、身体が強くなったし、クラシックも楽に踊れるようになりました。
学べる機会がある方には、ぜひ優先して学んでほしい科目の一つです。
ヒストリカルダンス
ヒストリカルダンスでは、宮廷舞踊を学びます。
宮廷舞踊といっても、一般人がダンスパーティーで踊るものではなく(イメージはそうですが)、より舞踊に特化した宮廷舞踊のバレエバージョン的なものです。
バレエの全幕でも、白鳥や眠りの宮廷シーンで踊られるポロネーズや、ロミオとジュリエットのクッションダンス、ライモンダのロマネスカなど、クラシックバレエの一部として舞台で今でも踊られていますね。
大きなジャンプや足をあげたりポアントを履いたりなど、派手な動きはないものの、それぞれの時代にあった動き方、スカートの持ち方、お辞儀の仕方などなど、知っていなければできません。
もちろん、踊りだけではなくワルツやメヌエット、ポルカなど宮廷舞踊の基礎も学習します。
ワガノワバレエ学校では、1〜3年生でこのキャラクターの基礎の基礎とも言えるヒストリカルダンスを学習します。
キャラクターダンスの導入にもなり、そこまで難しくないし、様々なタイプの音楽を知り踊ることができます。
難点は、「日本では学べる場所が限られていること」。
でもプロを目指すのなら、ぜひ一度は触れておいて欲しい科目になります。
身体の構造、怪我の予防&リカバリー学
こちらは独学でできるので、ぐっと学びやすくなります。
バレエに特化した書籍も今はたくさん売られていますし、接骨院や整体の先生から情報を得たり、自分自身で経験をしながらたくさんの知識を得られるかと思います。
身近なバレエダンサー友達や、先輩たちからも学べることがたくさんあります。
私自身も、数えきれないほど多くの怪我をしながら、「どんなやり方が自分にとって最適か」「自分の骨格上何をしなければいけないか」を念頭に、様々なことを試しました。
私の経験を踏まえた予防やリカバリーについては、また後ほど記事にさせていただきますので、よかったら参考にされてくださいね。
トレーニングやストレッチ
こちらは言うまでもなく必要不可欠ですし、既に実践されている方も少なくないと思います。
常に新しいトレーニングやストレッチが考案されていますが、バレエに必要なものを上手に取捨選択して取り入れるようにしてくださいね。
個人的に、バーオソルはおすすめです。
バレエに基づいたトレーニングなので、無駄な筋肉がつく心配もないし、リハビリにも使えます。
(「バーオソルって何?」に関する記事はこちら)
ワガノワバレエ学校でも行われていますし、プロダンサーも行なっている安全・安心なトレーニングです。
あとはヨガをストレッチに取り入れたり、ピラティスを学ばれている方もよく見かけます。
もちろんそれだけでなく、自分のウィークポイントがあるならそこを集中的に鍛えることも必要ですね。(例えば足指や内転筋など)
ウィークポイントは将来ダンサーとして働き出したとき、そこが原因で怪我をしやすいポイントでもあります。
プロになれば、「怪我=クビ」という厳しい選択を下されることもあります。
将来プロになったときや、ここ1番のチャンスを無駄にしてしまわない為に、今、学生で時間があるうちにしっかりと自分の身体と向き合って、必要なトレーニングを習得しておく必要があります。
もちろんクラシックも
いろいろと書いてきましたが、もちろん一番大切なクラシックもしっかりと学んでくださいね。
コンクールに出るだけではなく、ワークショップに参加するのも良いです。
ですが、大切なのは「バレエを学ぶこと」であって、「ワークショップに参加すること」ではないことをしっかり心に留めておきましょう。
今は、海外バレエ学校のオーディションが付いたワークショップや、海外バレエ学校やバレエ団の教師からクラシックはもちろん、クラシック以外の踊りを学べる機会もたくさんあります。
ぜひこの恵まれた環境を効率的に使って、プロへの道を自分のものにしてくださいね。
あとは、海外でプロとして働きたいのであれば語学の勉強も欠かさずに。
ペラペラになるまで話せなくても大丈夫ですが、英語はしっかりと勉強しておきましょう。
働きたい国があるのであれば、基本の挨拶とその国の言葉は最低でも読めるようにはしておきましょうね。
以上、プロになるための準備をざっくりとご紹介しました。
これからも皆さんにとって少しでも有益な記事をUPしていけるようにしますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
あなたが、プロダンサーへの道を手に入れられることを願って。。
Ayu